フナは琵琶湖の固有種であるニゴロブナ、しかも三月から五月頃に獲れる卵を持った雌しか使いません。 琵琶湖には他の種類のフナもおりますが、発酵により骨まで柔らかくなって頭から尾までまるまるスルリと食べられるのはニゴロブナだけなのです。
高島の辺りの湾はいくつもの小さな川が注ぎ込んで水温もあまり高くならず、ニゴロブナの生育には格好の場所。肉厚で身が締まり、子のたくさん詰まったものが捕れます。また、臭みのないフナずしをつくるには魚の鮮度も大事で、漁場と加工場が近いことも大きなメリットです。

フナずしづくりにはたくさんの塩を必要としますが、昔は貴重品でした。
しかし、高島には若狭湾で取れた塩を京都に運ぶ「塩の道」が通 っていて、良質の塩が手に入りやすかったのです。

高島は昔から近江米として知られる米所で、やはり品質の良い米を使えます。

高島は夏は梅雨などで雨がよく降り、秋には高島しぐれ、冬には雪も積もるというぐあいに降水量 が多く、湿度も高いのです。当然、伏流水も豊富できれいな水には困らないし、湿度は発酵菌の活動には欠かせないものです。